退去時の原状回復費用で思わぬ出費… どうすれば抑えられる?
SNSなどで「賃貸マンション・アパート退去時に高額のお金を請求された。納得いかない!」といった書き込みを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
家賃や敷金などの「借りるときの費用」に比べて「退去時の費用」については関心が低く、中には「お金を払うことを知らなかった」という人もいます。
今回は、「退去時にかかるお金」と、「それを安く抑える方法」を紹介します。
国土交通省は「原状回復のガイドライン」を作成
まず、入居者は他人の部屋を借りている立場ですので、壊したり、汚したりせずに使用する「善管注意義務」があります。
そして、退去時には破損や汚れを修繕したりクリーニングしたりして、借りたときの状態に戻す「原状回復」の義務があります。
特殊な事情がない限り原状回復は必要です。
しかし、入居者自身で原状回復を行うことは難しく、ほとんどは貸主側で修繕します。
その費用が敷金内で収まれば、入居者に費用負担は発生せず、敷金に余りがあれば返還されます。
しかし、敷金を払っていない場合や、費用が敷金を上回った場合は、入居者に支払い義務が生じます。
この具体的な額が事前にわからないことが、「納得いかない」などのトラブルにつながると思われます。
退去費用をめぐるトラブル
退居費用を巡るトラブルは以前から少なくありませんでした。
その理由として考えられるのは「自然損耗の解釈の違い」です。どれだけ丁寧に使っても、住むうちにどうしても部屋の傷みや劣化は発生します。
これを「自然損耗」といい、この部分の修繕費用は貸主負担なのが原状回復の基本的な考え方です。
しかし、実際には「自然損耗ではない」と入居者に費用を求める例もありました。
特に、若い世代や高齢者がそのターゲットにされ、かつては「原状回復費用は一律100万円」という不動産会社もありました。
こうしたトラブルを避けるために国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を制定し、原状回復の際に「入居者負担となるもの」「貸主負担となるもの(自然損耗)」を明示しています。
「部屋を丁寧に使う」意識を徹底しよう
では、退去費用を安く抑えるためには、どのような方法があるのでしょうか。
まずは、「ガイドラインを守っている物件を選ぶ」ことです。
契約時にガイドラインやそれを元にした独自の原状回復規定について書面で説明する貸主であれば、払わなくてもいいものを請求される可能性は少なくなります。
ガイドラインは国土交通省のホームページなどに掲載されていますので、引っ越しの際には一読することをお勧めします。
なお、法律上は賃貸借契約の内容が優先されますが、ガイドラインから大きく逸脱した入居者に著しく不利な契約内容などは、それ自体が無効とされる可能性があります。
次に、「費用の相場を知る」です。
貸主が高額なクリーニング会社や工事会社を使っているケースもあります。
ネットなどでルームクリーニング費用や工事費用の平均を調べたりすることで、相場観を掴むことができます。
退去費用を抑えるために
退去費用を抑えるために大事なのは「部屋を汚さない・壊さない」ことです。
例えば小さな子どもは壁や床に落書きをすることもあります。
これは自然損耗ではないので入居者負担です。
ペットを飼っている場合は猫の爪とぎなどで柱に傷がついたりした場合も、同様の扱いです。
普通の1人暮らし、2人暮らしでも、大掃除や模様替えなどで家具を異動させたときにぶつけて壁を破損させてしまったり、何かを飾るために壁に穴を開けるなど造作に手を加えたりすると修繕費用は高くなりますので注意して下さい。
掃除を怠ったことによる著しい汚れや損傷も自然損耗とはみなされません。
日頃から掃除はしっかり行いましょう。
ちょっとした工夫で退去時の費用は抑えられます。
「思ったよりも費用がかからなかった」と気持ちの面で安心するだけでなく、敷金が戻るというメリットもありますので、日頃から「部屋を大切に扱う」ことを心がけて暮らしましょう。
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